2008年06月18日

まいにちなにかをおもってます:3



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「やかんより好き」という概念があるってことは
当然「やかんのほうが好き」という概念も存在する。
(はあ?という人は二個前の記事を)

大好きな恋人や旦那さん、奥さんが
「あなたのことは人間の中では、いいえ生き物全ての中で一番好き。
でも、やかんの方がもっと好き」
という独特の趣味を持った人物かどうかということは
なかなか分かりにくい、判明しにくい。

何故なら人は、自分の愛のライバルに
まさか有機体でないものが含まれようとは考えない。
愛という分野において人は、有機体でないものに対してとても油断している。
ゆるゆるのスルスル。死角盲点もよいところ。

「タロウとジロウとサブロウとゴエモンとオレと、誰が好きなんだ」
と問いつめ迫ることはあっても
「やかんと受話器とマグネットとスリッパとオレと蛇口と」
と疑心する緊張感は持ち合わせない。

それで大丈夫かしら。

珈琲を煎れるための、湯をわかす少しの間。
しゅんしゅんと湯気吹くやかんの、ボディーの丸み、鈍い銀色
無数のキズや、熱せられて次第に汗をかく黒い取っ手。
そういったものの全体を、じっとり物思わしげに眺め、沈黙する
そんな恋人の一瞬を捉えた経験
はたしてただの一度も憶えが無いものだろうか?


そういえば、以前のダ・ヴィンチの「短歌ください」で取り上げていただいた歌は
こういう歌でした。


好きでしょ、蛇口。だって飛びでているとこが三つもあるし、光っているわ



図は、また失敗の絵をのせようと思っていたのに
よそうがいのかわいさで描けてしまった変ないきもの。

あやうかわいい、というジャンルを目指していますが目指していません。









 
posted by 草子 at 08:55| うそほんと